【帝王学】貞観政要に学ぶ、リーダーに必須の考え『十思九徳』

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書評
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こんにちは、こえじまです。

帝王学、リーダーシップ論の元祖とも言える書物である貞観政要。

今回はその中から、部下のやる気や能力を最大限に引き出すためにリーダーが持っておくべき心構え『十思九徳』を紹介します。

時間の無い方は、十思のまとめ、九徳のまとめだけ御覧ください。

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  1. 十思九徳とは
  2. 十思
    1. 1. 欲しいと思うものを見たら、足ることを知って自戒することを思う
    2. 2. 大事業をしようとするときは、止まることを知って民の安楽を思う
    3. 3. 高ころびしそうな危ないことを思うときには謙虚に自制することを思う
    4. 4. 満ちあふれるような状態になりたいという願望が起これば、満ちあふれる海は全ての川より低いことを思う
    5. 5. 遊びをしたいと思う時は、必ず限度をわきまえ、狩りの時、一方に逃げ道を用意してやるのを限度とすることを思う
    6. 6. 怠け心が起こりそうだと思えば、始めを慎重にして終わりをつつしむことを思う
    7. 7. 自分の耳目を塞がれているのではないかと心配ならば、虚心、部下の言葉を聞くこと思う
    8. 8. 中傷や讒言を恐れるなら、まず自ら身を正して悪をしりぞけることを思う
    9. 9. 恩恵を与えるときは喜びによって賞を誤ることがないように思う
    10. 10. 罰を加えようとするときは怒りによって重すぎる罰にならないように思う
    11. 十思のまとめ
  3. 九徳
    1. 1. 寛大でしまりがある(寛にして栗)
    2. 2. 柔和で事が処理できる(柔にして立)
    3. 3. まじめで、丁寧で、つっけんどんでない(愿にして恭)
    4. 4. 事を治める能力があり、慎み深い(乱にして敬)
    5. 5. おとなしく、内が強い(擾にして毅)
    6. 6. 正直・率直で、温和(直にして温)
    7. 7. 大まかだが、しっかりしている(簡にして廉)
    8. 8. 剛健で、内も充実(剛にして塞)
    9. 9. 強勇で義しい(彊にして義)
  4. 九徳のまとめ

十思九徳とは

十思九徳とは、唐の時代に、諫議大夫である魏徴が帝王である太宗に向けて話した心構えです。

十思九徳の詳細に入る前に、何故この話を魏徴が太宗にしたのかということについて簡単に触れたいと思います。

魏徴と太宗の会話の中で、過去のリーダーとして2人の反面教師が上げられました。

1人めは隋の文帝です。

文帝は部下を全く信用せず、権限を部下に譲ることもしなかったため、細かいことまで何もかも自分で決裁していました。

いわゆるワンマン経営です。

何事も自分でやろうとするあまり、心身を酷使し、段々と取り決めにミスが起こるようになります。

そうして少しずつ歯車がズレることによって、最終的に破滅しました。

もう一人は、中書(現在の日本で言う内閣府)の役人です。

この役人達は、互いが互いのメンツを潰してはいけないからと言って、おおっぴらに反論や意見を述べることをしませんでした。

嫌われたり、妬み嫉みを受けないように、表面的に「はい、はい」と従うことを続けました。

いわゆる付和雷同(自分にしっかりとした考えがなく、他人の言動にすぐ同調すること)です。

このように、小さな摩擦を避け続け、各人が意見を述べなくなった結果、全体として間違った方向へと進むようになってしっても誰も止めなくなりました。

そうして、こちらも最終的に破滅しました。

まとめると、リーダーとして、ワンマンは危険、かといって付和雷同も危険ということです。

ではリーダーはどのような心構えを持てば良いのでしょうか。

それを示したのが、十思九徳です。

リーダーは自己を戒めるために十思を参考にし、部下に能力を発揮させるために九徳を心がけさせるようにしましょう。

十思

1. 欲しいと思うものを見たら、足ることを知って自戒することを思う

[反対] 欲しいとなれば、前後の見境なくやみくもに欲しがる

老子の言う「足るを知る」ですね。

リーダーとして権力を持つと、全能感にとらわれるようになります。

そうすると、何でも手に入るような錯覚をしてしまい、必要のないものまで求めてしまいます。

欲は際限が無いため、もっともっととなって最終的に破産します。

2. 大事業をしようとするときは、止まることを知って民の安楽を思う

[反対] 企画を思いつくと社員のことなど忘れてつっ走る

大事業をするときは、必ずその影響を考えましょう。

大事業は部下への影響が非常に大きくなります。そのため、現在すでに部下が疲れ切っているのなら大事業を始めても、成功するはずもありません。

3. 高ころびしそうな危ないことを思うときには謙虚に自制することを思う

[反対] 名誉職を高望みして自分の位置を忘れる

出世を望むあまりに、失敗しそうなことでも、安易に出来るだろうと考えてしまうのは禁物です。

たとえ好調のときでも謙虚に、自分を律しましょう。

4. 満ちあふれるような状態になりたいという願望が起これば、満ちあふれる海は全ての川より低いことを思う

[反対] まだ足りぬと上へ上へと事業を拡張して破綻し、堅実にやっていれば良いことを忘れる

先ほども述べましたが、欲には際限がありません。

もっともっとと求めるのではなく、堅実に続けていくことが重要です。

5. 遊びをしたいと思う時は、必ず限度をわきまえ、狩りの時、一方に逃げ道を用意してやるのを限度とすることを思う

[反対] 遊びだすと限度なく遊びに溺れる

たまには遊ぶことも重要です。

しかし、遊びにのめり込みすぎてそこに溺れるようなことはあってはいけません。

遊びはあくまで遊びだからこそ良いのです。

6. 怠け心が起こりそうだと思えば、始めを慎重にして終わりをつつしむことを思う

[反対] 軽率に始め、すぐ嫌になって関心を失い、終わりを全うせずに放り出す

物事を続けていくと段々と飽きて、めんどくさくなってきます。

そのようなときは、初心を忘れずに最後までやりとげましょう。

7. 自分の耳目を塞がれているのではないかと心配ならば、虚心、部下の言葉を聞くこと思う

[反対] おだてられて調子に乗り、部下の直言に耳を傾けない

リーダーとして権力を持つようになると、部下の意見に耳をかさずに独断で物事を進めがちです。

その独断も上手くいっているうちは良いのかもしれませんが、必ず上手くいかなくなるときがあります。

そのような時に部下の真摯な意見を受け入れましょう。

8. 中傷や讒言を恐れるなら、まず自ら身を正して悪をしりぞけることを思う

[反対] 中傷や告げ口に楽しそうに耳を傾け、そういう言葉を無くそうと厳然たる態度で取り組まない

中傷や告げ口は進言や意見とは違って、無為です。

関係を悪くするだけの生産性のない言葉を無くす努力をしましょう。

9. 恩恵を与えるときは喜びによって賞を誤ることがないように思う

[反対] 賞を与えるときは喜んで無茶な賞を与える

部下の大活躍に対して嬉しくなりすぎてはいけません。

もちろん部下の活躍を喜び、章を与えるのは良いのですが、ここで言うのは限度の話です。

活躍に対して見合わない褒章を与えることは、部下に対して余計なプレッシャーを与えることにもつながります。

感情に左右されず、適切な褒章を部下に与えましょう。

10. 罰を加えようとするときは怒りによって重すぎる罰にならないように思う

[反対] 罰するときは怒り狂って罪に限度がない

これは9の反対です。

部下が大失敗をした時、罰を与えるのは仕方のないことです。

しかしそこに怒りの感情を含めてはいけません。

適切に重すぎない罰を与えましょう。

十思のまとめ

個人的には10は覚えるのに多すぎるので、独断と偏見で5つにまとめてみました。

  1. 際限なく広がる欲を抑え、自制する[1,4,5]
  2. 大きなことをする前は、一度立ち止まって影響範囲を考える[2,3]
  3. 一度初めたことは最後までやりとげる[6]
  4. 部下の意見には真摯に耳を傾け、中傷するような物言いを許さない[7,8]
  5. 感情に振り回されず、冷静な対処を取る[9,10]

割と平凡な内容が多かったのではないでしょうか。

次は九徳です。

九徳

1. 寛大でしまりがある(寛にして栗)

[反対] こせこせうるさいくせに、しまりがない

他者に対しては度量が大きく、思いやりがあって、むやみに責めません。

しかし自分のこととなると、緊張感があっていつも集中している状態です。

他責ではなく、自責で生きるということです。

2. 柔和で事が処理できる(柔にして立)

[反対] とげとげしいくせに、事が処理できない

人当たりがよく、何事にも柔軟に自分を合わせた対応が出来ます。

穏やかでかつ問題解決能力が高いということです。

3. まじめで、丁寧で、つっけんどんでない(愿にして恭)

[反対] 不まじめなくせに尊大で、つっけんどん

物事に真摯に取り組み、謙虚な姿勢でいて、かつ人情味があるということです。

4. 事を治める能力があり、慎み深い(乱にして敬)

[反対] 事を治める能力がないくせに、態度だけは居丈高

問題を解決する能力があるにも関わらず、謙虚で態度が大きくないということです。

5. おとなしく、内が強い(擾にして毅)

[反対] 粗暴なくせに、気が弱い

温和で穏やかであるが、心の中では強い信念を抱いている状態です。

また、その信念を元に確固たる意見を持っていることです。

6. 正直・率直で、温和(直にして温)

[反対] 率直にものをいわないくせに、内心は冷酷

心から相手に協力的で、それでかつ自分の意見を正直に述べることです。

協力的なことと、意見を言わないことは違うことを指しています。

7. 大まかだが、しっかりしている(簡にして廉)

[反対] 何もかも干渉するくせに、全体がつかめない

全体像をぼんやりと掴んでおり、それぞれの担当範囲の切り分けが出来ている状態です。

他者の細部に目くじらを立てることが無く、それでもなお全体像は把握しているということです。

8. 剛健で、内も充実(剛にして塞)

[反対] 見たところ弱々しく、内もからっぽ

見た目だけでなく、中身もしっかりとしているということです。

見た目も中身も両方がしっかりしていて初めて、全体的に充実していると見られます。

9. 強勇で義しい(彊にして義)

[反対] 気の小さいくせに、こそこそ悪事を働く

勇気があって物怖じしないだけでなく、その勇気を正義のために使えるということです。

九徳のまとめ

九徳は相反する2つの性質を合わせ持った人材こそ、必要だと考えています。

九徳にはそれぞれ2つの性質が示されているので、計18の性質を兼ね備えた人となることを目標としましょう。

ただし、こちらもさすがに18は多いので独断と偏見で7つにまとめてみました。

  1. 大らかで人当たりがよい[1,2,3,6]
  2. 緊張感があって、真面目である[1,3]
  3. 問題解決能力が高い[2,4,7]
  4. 謙虚である[4,5]
  5. 確固たる信念を持ち、それと勇気を持って率直に意見を述べる[5,6,9]
  6. 他者の細部に目くじらを立てるのではなく、全体の正義を重視する[7,9]
  7. 中身も見た目と同様にしっかりとしている[8]

十思の5つと九徳の7つを意識すれば、素晴らしいリーダーになれるはずです!

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